唐人街探偵　東京MISSION (2021)：映画短評

　日本の劇場公開はこれが初めてとなった中国の人気映画シリーズの第３弾。頭脳明晰なイケメンとおっちょこちょいなオジサンの凸凹探偵コンビが来日し、裏社会の抗争に隠された謎を追い求めて東京中を駆け巡る。とにかくナンセンスなギャグと大掛かりなアクションが満載。理屈抜きで楽しめる作品に仕上がっている。日本のポップカルチャーへのオマージュやパロディなどは、さすがハリウッド映画なんかよりも遥かに「分かってます感」が満載だ。渋谷のスクランブル交差点をオープンセットで丸ごと再現してしまうなど、贅沢過ぎる予算のかけ方も中国映画らしい。もはや、これだけのスケールのエンタメ映画を日本で作るのは難しいだろう。

次々飛び出す日本人キャストに、ベタな観光スポット、アクション、コメディ、ミステリーに加え、残留孤児をめぐるシリアス展開と、クドいほどにエンタメ全部乗せ。『東京攻略』を思い出す完璧な旧正月映画である。前2作（＆ウェブドラマ）の存在を知らないと「？」になるシーンもありつつ、大味感満載。にも関わらず、「全裸監督2」でも使われた足利市に建てられた渋谷駅前のオープンセットや新宿ミラノ座跡地が新宿駅と化すファンタジー感など、チャイナマネーによる妙な説得力に圧倒されていく。ちなみに、主人公2人が仮装するのが、アニメ「ひょうたん童子」のキャラという、おっさん直撃の小ネタにもニヤリ。

中国の若き辣腕探偵チン・フォンとその叔父が殺人容疑をかけられた日本人ヤクザの依頼で密室殺人の謎に挑む！　人気シリーズの第3弾なので探偵コンビの過去や謎めいた集団が絡んでタンの捜査が複雑化し、気が抜けない展開。妻夫木聡や長澤まさみら人気役者を多数揃えた豪華キャスティングだし、渋谷交差点やマリオカートも登場とあって観光誘致のお・も・て・な・し企画の体だ。叔父役ワン・バオチャンがお得意のアクションも披露する。しかもリウ・ハオランはじめ、中国の新世代役者が多数出演していて、華流ファン必見。シリーズ第4弾にはビッグな香港スターも登場しそうで、シリーズを追いかけたいい気持ちも高まる。

世界的な映画市場において年々重きをなす中国ですが、この映画はその勢いを体現している映画と言えるでしょう。
噂の渋谷駅前セットから始まり、まぁ見事に日本中でロケを敢行していて、実にゴージャスです。
メインキャストだけでなくワンシーンだけでの登場でも結構名の知れた日本人キャストが登場するのでびっくりします。
それに加えて、トニー・ジャーやアンディ・ラウと言ったビッグネームも登場していてとにかく豪華絢爛、勢いのまま一気に最後まで駆け抜けていきます。ミステリー的には意外とフェアなのにも驚きました。