元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件 (2020):映画短評
元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件 (2020)ライター4人の平均評価: 3
航空サバイバル×ラブコメのハイブリッドが新鮮
ビジネスの世界で邁進するキャリア志向のヒロインと、競争社会に疲れて南海の楽園でモラトリアム生活を送る元カレ。そんな2人が友人の結婚式へ行くため、たまたま同じセスナ機に乗り合わせたところ、飛行中に操縦士が心臓発作で死亡してしまう。2人とも操縦経験ほとんどなし。なのにGPSは故障するわ、通信機もいまいち不調だわ、そのうえ目の前には想像を絶する嵐が!果たして、いったいどうなる…!?という航空サバイバル映画。正反対ゆえに結ばれなかった男女が、絶体絶命の危機的な状況を共に切り抜けていく事で、やがて「生き方の違い」など些細なことに過ぎないと悟っていく。スクリューボール的なラブコメの変化球として面白い。
元カレとは再会すらも避けたい女性、必見?
元恋人のサラとジャクソンが乗った飛行機が舞台のワンシチュエーションもので、次々に降りかかる危機を主人公たちがどのように乗り越えていくかがポイント。二人が力を合わせて危機を回避し、ステージをクリアするごとにかつての情熱が蘇る仕組みなのだと思う。が、サバイバルできるか否かという大問題を前にした観客にとって、やけぼっくいに火がつこうがつくまいがどうでもいいというのが正直な感想。こういう設定では、愛する人のために自己犠牲を迫られるという究極の状況に置かれることが必要だったかも。製作陣が『ラスト・バケーション』チームなので、最後に登場する大きな影に過剰に期待してしまいました。
大空で『ロスト・バケーション』
まるでラブコメのような邦題だが、一難去ってまた一難と、かなりシリアス。とにかく製作総指揮がジャウム・コレット=セラであり、彼以外も撮影監督まで同じこともあり、恐ろしいまでに“大空版『ロスト・バケーション』”といえるだろう。だからといって、たとえボートやヨット事故ならやってもおかしくない対処法を、セスナ機の上でもやってしまうのは、ちょっとやりすぎ! そのうえ、合成もやや甘い! しかも、元カレとはいえ、しっかり相棒がいるため、『ロスト・バケーション』のような孤独との戦いはなく、若干『スピード』も入って、引き延ばした感じ。ただ、ラスト直前の展開に高まったこともあり、★おまけ。
一つの状況をあの手この手で楽しませてくれる
真っ青な海に囲まれた南国の島で、友人の結婚式に出席するというウキウキな状態のヒロインが、たまたま乗ることになったセスナ機でパイロットが急死。しかも同乗者は、ヘタな別れ方をして気まずい関係の元カレだけ。そんな事態の中、どうやったら生き延びることができるのか。この一つの状況だけで、ありとあらゆる「起きるかもしれないこと」を描いて92分間、きっちり楽しませてくれる脚本を担当したのは『10 クローバーフィールド・レーン』の原案&脚本のジョシュ・キャンベル。思えばこの2作、ある種の閉鎖空間でのサバイバル・サスペンスなところが共通。いや、それは無理でしょ! とツッコミたくなる行動もありつつスリリング。