日本語劇場版『サンダーバード55 / GOGO』 (2021):映画短評
日本語劇場版『サンダーバード55 / GOGO』 (2021)ライター2人の平均評価: 4
21世紀に甦るスーパーマリオネーション
‘60年代にドラマ・レコードのみのオリジナル・ストーリーとして製作された3つのエピソードをもとに、アンダーソン夫妻によるスーパーマリオネーション技術を細部まで忠実に再現して制作された『サンダーバード』のアニバーサリー・エピソードを、日本独自に再構成した劇場公開版。これが「当時の失われたフィルムの発掘か?」と見紛わんばかりの完成度で、なおかつ森川智之や満島ひかりら吹替声優陣のレトロな芝居のおかげもあって、まさに’60年代を追体験するような作品に仕上がっている。しかも本作のファンである樋口真嗣監督が構成を担当しているだけあって、『謎の円盤UFO』オマージュなどのマニアックな仕掛けが楽しい。
大好きなものに注がれる、ひたむきな愛に感動
好きな人がやっていると、それが伝わってくる。監督たちは60年代英国の人気TVシリーズ『サンダーバード』が大好きで、その技術"スーパーマリオネーション"を紹介するドキュメンタリー映画を製作したところ、それを見たITVに50周年記念作品の声をかけられて本作が始動。当時のレコードに収録されたエピソードの映像化だが、音声だけでなく、なんと当時と同じ特撮技術を使用。さらにレコードにはないシリーズの必須アイテム、建物の爆発や、いかにもな造形のマシンなどを追加したのがポイント。それをこのシリーズの大ファンの樋口真嗣監督が再構成しているので、痒いところに手が届く。大好きなものに注がれるひたむきな愛に感動。