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グレタ ひとりぼっちの挑戦 (2020):映画短評

グレタ ひとりぼっちの挑戦 (2020)

2021年10月22日公開 101分

グレタ ひとりぼっちの挑戦
(C) 2020 B-Reel Films AB, All rights reserved.

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.3

森 直人

Z世代の肖像

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

ご存じスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリの約1年を追った貴重な記録。素晴らしい「青春映画」だと思う。アル・ゴアの『不都合な真実』より『ビリー・アイリッシュ/世界は少しぼやけている』、あるいは『ナディアの誓い』と並べたい。市井の内気な少女がSNSの力もあって、瞬く間に時代の寵児になる。15歳の夏に始めたストライキから、世界的アイコンとなっていったグレタの姿から「若さ」の特権が眩しく放射する。

監督のネイサン・グロスマンが、親密な距離感とニュートラルな視座を保つのが肝。共にヨットで大西洋横断してNYに行き、国連の演説シーンとなる。『スミス都へ行く』ではないが映画的なクライマックスだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

不誠実で無責任な大人たちに若者が怒るのは当然

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 気候変動の問題を世界に提起し、今や環境活動の象徴となったスウェーデンの少女グレタ・トゥーンベリの素顔に迫るドキュメンタリー。「大人は言うこととやることが違う」。どこまでも真っ直ぐで淀みのない彼女の主張は、多くの若者から共感と賛同を得る一方で、一部の世俗にまみれた怠慢な大人にとっては不愉快で耳障りなものだろう。いつの時代も若者を妬み嘲り、その口を塞ごうとする大人はいる。そういう意味で、もともと環境問題に無関心だったという両親の、アスペルガーを抱えた娘を障害者扱いも子ども扱いもせず、その主体性を尊重して最大限に支える愛情深さに心動かされる。気候変動問題が待ったなしの今、大人たちの行動が問われる。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

とりあえず、この映画はプロパガンダになりえないはず

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

グレタ・トゥーンベリさんに関しては、日本でもさまざまな意見が聞かれるが、この映画は徹底して真摯に素顔に肉薄した印象。グレタ自身も監督のすべてを信頼しきってないムードも漂わせており、変に自分を主張しないところが、逆に作品全体に冷静さを与えた。

アスペルガーとして時に過剰な言動に走る姿とともに、疲れてストレスを抱えたり、動物に癒しを求めたり、十代の少女の日常も映し出すことでグレタへの反感(を持つ人の心)を和らげる。少なくとも、訴えたいことは「まとも」だと感じ取る人は多いだろう。

ドキュメンタリーは監督の強い主張を隠し味に、観る人を洗脳するリスクもあるが、本作はその方向性を極力、避けた気がする。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

ひとりの少女が立ち上がり、希望が生まれた

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

若き活動家グレタの学校ストライキから国連気候変動サミット出席までを追いながら、彼女が起こしたムーブメントと知られざる素顔を明らかにする。世界中から注目され、重責を担う立場となったグレタが率直な物言いで未来をより良くする政策を実現できない世界のリーダーに疑問を投げかける姿が痛快だ! 彼女を脅威に感じる権力者や保守派メディアの中傷を受け流しつつも、溜まったストレスをダンスで発散。ニュース映像ではわからないグレタの本音も伝わるし、彼女を支える家族の重要性もわかる。終盤で「危険を察知し、仲間に警告する責任が自分にある」と覚悟を語るグレタが実に頼もしく、彼女に賛同した若者パワーに希望を感じた。

この短評にはネタバレを含んでいます
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