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カオス・ウォーキング (2021):映画短評

カオス・ウォーキング (2021)

2021年11月12日公開 109分

カオス・ウォーキング
(C) 2021 Lions Gate Films Inc. All Rights Reserved.

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 2.8

相馬 学

感情ダダ漏れ状態のSF世界から、男権社会を問う

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 『ハンガーゲーム』のヒット以降、YA小説の映画化は流行したが、この流れの映画を久しぶりに見た気がする。

 男の感情だけがダダ漏れする世界という設定がまず面白く、そのような世界では感情を隠せる女性が脅威になる……という部分も納得がいった。“キスしたい”という声も漏らす主人公を演じたトムホの十代感全開のキャラは、YAモノらしいジュブナイル感。

 “男はもっと汚いことを考えてるんじゃねえの?”という大人の目線が一切ないのはYA映画の限界か。しかし、男が女を恐れる構図は社会的にも意味があり、そういうことを考えさせるうえで寓話的な面白さが宿る。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

トムホがいろいろサトラレる

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

原作は三部作のヤングアダルト小説なので、ユルユルな設定うえ、続編ありきの展開。どこか『フィフス・ウェイブ』感もありつつ、女性が死に絶えたといわれる西部劇な世界観で、なぜか思考がダダ洩れするトム・ホランド演じる主人公は「サトラレ」状態。ちょっとしたエロに敏感に察する女子がデイジー・リドリーだけに、『スター・ウォーズ』ねたも用意。そんな2人の掛け合いを温かく愛でる映画といえば、腹も立たないだろう。脳内大好きチャーリー・カウフマンが初稿を書いていた事実がとにかく笑えるが、これまでハズレがなかったダグ・リーマン監督が追撮しても、この程度の仕上がりということに驚かされる。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

トム・ホランドの初々しさ、まっすぐさが眩しい

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 バトリック・ネスの原作小説「混沌の叫び」シリーズで描かれるのは「自分が思っていることが"ノイズ"として放出され、第三者にも聞こえるようになってしまった世界」。その映画化である本作は、その"ノイズ"がどのように描かれるのかが、まずは見どころ。
 もう一つ注目なのは、トム・ホランド演じる主人公の初々しさだろう。幼くして両親を失い、女性が死に絶えた世界で生きる主人公は、デイジー・リドリー扮する少女と出会ったことから、それまでまったく知らなかった事実を次々に発見していくことになる。そのたびに驚き、悲しみ、怒りなどの感情を体験しつつ、まっすぐに成長していく。そんな少年をホランドが魅力的に演じている。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

チャーリー・カウフマンのバージョンが見たかった

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

この惑星に到着すると、男性は思っていることが全部表に現れるようになるが、女性は影響を受けない。なので、男性は女性に対して格好をつけることができなくなるという設定は、とてもユニーク。だが、最初にしっかりそこを説明するわりには、途中からありきたりの追跡劇になってしまう。この小説の映画化には長い年月が費やされ、一時はチャーリー・カウフマンが脚色をするはずだった。彼だったら、心理的な部分をもっと興味深い形で掘り下げていたのでは。キャストは超豪華ながら、主演のホランドとリドリー以外は無駄遣いされている感じ。主演のふたりは魅力的で、それが映画を引っ張る。

この短評にはネタバレを含んでいます
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