向田理髪店 (2022):映画短評
向田理髪店 (2022)“田舎あるある”にしみじみ、ほっこり
過疎化や少子高齢化、結婚難といった、地方の深刻な社会問題を扱いつつ、そこに生きる変わらない人々の日常をユーモラスかつハートウォーミングに描く、奥田英朗の連作短編集を映画化。舞台は北海道から福岡に変更されているものの、ロケ地である大牟田市の情景が、ときに頼りになり、ときに面倒臭い人間関係や(本宮泰風がセルフパロディを交え、『レオン』な殺し屋を演じる)映画撮影隊をめぐる騒動といった“田舎あるある”にピッタリ。さらに、物語の軸となる仲良し夫婦を演じる高橋克実と富田靖子のキャラも相まって、ラストはいささか強引ながら、原作通りしみじみ、ほっこり。森岡利行監督作としても、安定の仕上がり。
この短評にはネタバレを含んでいます