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女神の継承 (2021):映画短評

女神の継承 (2021)

2022年7月29日公開 131分

女神の継承
(C) 2021 SHOWBOX AND NORTHERN CROSS ALL RIGHTS RESERVED.

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.7

なかざわひでゆき

『哭声/コクソン』のDNAを継承するファウンドフッテージ物

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 タイの農村地帯で土着宗教の祈祷師を取材していたドキュメンタリー映画の撮影隊が、やがてその祈祷師一家にまつわる怨念が渦巻く悪霊憑き事件を目撃することになる。原案・製作を『哭声/コクソン』のナ・ホンジンが、監督を『心霊写真』のパンジョン・ピサンタナクーンが担当したファウンドフッテージ物だが、印象としてはナ・ホンジンのカラーが強いようにも思える。のどかで神秘的なタイの田舎を映し出す序盤から、次第に不穏な空気が立ち込めて行き、文字通り阿鼻叫喚の壮絶なラストへとなだれ込んでいく展開はなかなか圧巻。『哭悲/THE SADNESS』といい、『呪詛』といい、本作といい、今夏はホラーの秀作が続きますな。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

放送禁止 呪われた祈祷師一族

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

あの『哭声/コクソン』の続編として始まった企画が大飛躍。ナ・ホンジン監督自らがプロデューサーが務めていることもあり、不穏な空気感をタイの農村に再現。祈祷師一族に巻き起こる悲劇を、撮影クルーが密着という設定をモキュメンタリータッチで描く。「放送禁止」好きにはたまらないものがあり、丁寧に人間関係を紹介する序盤は穏やかながら、終盤にかけての勢いがおぞましい。残酷描写に関しては、ぶっちゃけ『三眼ノ村』などのタイ・ホラーを見慣れた人間には、モノ足りないかもしれない。だが、131分の長尺を見せ切る演出力は、ユルユルな『愛しのゴースト』の監督と同一人物とは思えない執念に近いものを感じる。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

湿った大気、暗い森に何かが潜んでいる

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

『パラノーマル・アクティビティ』シリーズを連想させるドキュメンタリー形式が、この題材に似合う。タイ北東部の小さな村、湿度の高い雨季、代々受け継がれてきた巫女の家系。その末裔の若い女性にさまざまな怪異が起きるが、その怪現象にもまして恐ろしいのは、いつもそこに在る、樹木の鬱蒼と生い茂る暗い森。密生する植物に視野が遮られて、何かが潜んでいても分からない。この森は人間の味方にはなってくれないだろう、そんな気配が漂ってくる。すると、そこに置かれた祈りのための道具や捧げ物まで、どこか禍々しいものに見えてくる。が、そういう物語なのかと思って見ていると、何度も違った方向に進んで、見る者を惑わしてくれる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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