マーベラス (2021):映画短評
マーベラス (2021)ライター4人の平均評価: 3.3
15年前に観たかったマギー・Q映画
B級感漂うが、そこは悪名高き『グリーン・ランタン』後、近年のジャッキー映画の最高峰『ザ・フォーリナー/復讐者』を手掛けた職人、マーティン・キャンベル監督作。『レディ・ウェポン』な設定も入った驚くほどにマギー・Q映画であり、妖艶さも香り立つアクションを魅せる。後半になるほど粗くなるリチャード・ウェンクによる脚本もフォローするほどだが、やはり彼女が『M:i:III』で注目された15年ほど前に製作されていれば……という悔しさは残る。一方、まだまだ動けることをアピるマイケル・キートンとの『Mr.&Mrs.スミス』パロディのような展開やR15+なバイオレンス描写など、妙なサービス精神に溢れた一本だ。
マギー・Qのクールでハードボイルドな美に酔う
『007』シリーズを2本撮ったベテラン監督キャンベルらしい仕事。洗練されたソツのないアクション演出に唸らされた。
天涯孤独のヒロインが暗殺者のスキルを活かして復讐に挑む、そんな物語にハードボイルドな空気を宿らせる巧さ。ウィットに富んだセリフの応酬でドラマを動かし、彼女が敵と寝ることもサラリと納得させる、スリリングかつ粋なムードは古き良きスパイ映画の香り。
マギー・Qやサミュエル・L・ジャクソンのキャスティングは、そこにラフな現代性を加えており、自己流を貫くキャラの魅力をにじませる。とりわけ前者はアクション面での肉体的な貢献度も高く、折れない女性の強さを体現している点でも高感度大。
ベテランの腕前を見せつける王道アクション
「007/カジノ・ロワイヤル」「マスク・オブ・ゾロ」のマーティン・キャンベルが監督し、「イコライザー」のリチャード・ウェンクが脚本を手がけた今作は、ベテランの腕前を感じさせるアクション映画。容赦ない残酷なアクションシーンがたっぷりあり、早いテンポで話が進んで無駄がない。個人的にはロマンスの部分が余計かなと思ったが、そこも王道エンタメには欠かせないのか。主演のマギー・Qがとびきりかっこいい。彼女の起用が今作にモダンさを与えたのは確か。マイケル・キートンの存在感もさすがで、あまり期待しすぎずに見れば十分楽しませてくれる映画だ。
この女性暗殺者は古書店を営んでいる
女性暗殺者モノなのだが、彼女には副業があり、ロンドンで希少価値の高い本だけ扱う古書店を営んでいて、その店構えがウットリもの。さらに、その店をフラリと訪れた実は敵である男は、エドガー・アラン・ポーが別名で出版した詩集を勧められると、その中の一篇を暗唱したりする。そんな設定がすんなり楽しめるのも、2人を演じているのがマギー・Qとマイケル・キートンだからではないか。いろんな経験を経てきた大人な2人が、相手を面白がりつつ、本気の戦いをする、そんなドラマでもある。そのヒロインが敬愛する師匠役で、サミュエル・L・ジャクソンが安定のいいオヤジぶり。彼がヴィンテージのギター好きという設定もいい。