餓鬼が笑う (2021):映画短評
餓鬼が笑う (2021)'70年代的なアングラ臭を漂わせた怪奇幻想譚
事業に失敗した父親が自殺し、自らも骨董品の露天商で食いつないでいる貧しい若者が、山奥の怪しげな骨董競り市に参加した帰り道、飢えた餓鬼のうごめく黄泉の国へと迷い込んでしまう。言うなれば、職業だの財産だの生産性だので人間の価値が推し測られる現代社会で、未熟な若者が摩訶不思議な地獄巡りを通して生きるための図太さや狡猾さに目覚めていく物語。この世とあの世の境界線がどんどん曖昧になっていくストーリー展開が面白く、’70年代的なアングラ臭を漂わせた怪奇幻想ファンタジーに仕上がっている。池田良や二ノ宮隆太郎、原田大二郎など、意外なところに出てくる役者の顔ぶれにも要注目だ。
この短評にはネタバレを含んでいます