アントマン&ワスプ:クアントマニア (2023):映画短評
アントマン&ワスプ:クアントマニア (2023)ライター4人の平均評価: 4
アントマンが奇妙な量子世界を縦横無尽に動き回る
アントマンの縦横無尽な空間移動、特に垂直移動を体感するには、大画面がオススメ。量子世界が思ってもみなかった姿で出現、キュートなクリーチャーや奇妙な生き物たちで溢れているのも楽しい。『アントマン』シリーズ3作は脚本家がそれぞれ違い、今回はちょっとシュールなコメディSFアニメシリーズ「リック・アンド・モーティ」にも参加しているジェフ・ラヴネスが担当。量子世界の住民のユニークなテイストやギャグには、ちょっとこのアニメの雰囲気があるような。
新たなMCUの重要キャラ、征服者カーンの重厚さと威圧感は、ジョークが好きな普通の人スコットの軽快さと好対照。カーンがもっと見たくなる。
アベンジャーズの庶民派はマルチバースでも庶民的!?
マルチバース化著しいMCUにあってアントマンも例外ではない。
このシリーズの場合、量子世界という独特の概念があり、さらに今回は時間を自在に操るヴィランが登場するので真剣に考えると頭が混乱しかねない。しかしそこはマーベル、異世界スペクタクルのつるべ打ちで押してくる。量子世界の異形のキャラは『スター・ウォーズ』のタトゥイーンの住人のようで目を引くし、とにかくビジュアル的な見どころに事欠かない。
“小さき者を無視するな”という主人公スコットの持論がドラマに一貫性をあたえている点もポイント。マルチバースになっても、彼の庶民性が失われていないのが嬉しい。
MCUでも最高にヘンテコ(誉めてます!)キャラ登場が楽しい
このところMCUは、メインのヒーローの物語、およびその魅力へのフォーカスに徹底し、そのヒーローの過去を軽く頭に入れとくだけで単体で素直に楽しめる。本作もそこがうれしい作り。最大の見どころは量子世界に出てくるキャラたちの造形で、「スター・ウォーズ」カンティーナの世界を彷彿とさせる、魑魅魍魎のデザインにテンション上がる。中でもアントマンと深い仲の一体は、あまりに極端な姿が笑っちゃうほど愛おしい!
現実世界の“らしい”軽やかなノリは今回、限定的で、全体にはシリアス&ダークさが強調された印象。悪役カーンのジョナサン・メジャースは、その実力、まだ片鱗を覗かせてるだけで、大爆発への期待は今後に持ち越しか。
MCUフェーズ5最高のスタート
ディズニーよりご招待いただき。見る前から面白くなる予感はあったのです。カーンを出してきて量子世界を描いて、しかもマルチバースサーガ―の本章に突入という盛沢山な内容でありながら125分の上映時間で収めてきているので一気に駆け抜けてくれるだろうと、結果その予想は当たりました。最近は色々な感情を伴う事も多かったMCUですが、本作は単品で楽しめる痛快娯楽作。スペースオペラ的な壮大な物語でありつつ、ちゃんとアントマンの話でありました。MCUフェーズ5は最高のスタートを切ったと言っていいでしょう。