有り、触れた、未来 (2022):映画短評
有り、触れた、未来 (2022)ありふれた物語だからこその普遍性
宮城県のとある町を舞台に、バンド仲間の恋人を事故で失った若い女性、震災で家族が犠牲になった少女とその父親など、哀しみや不安や孤独を日々抱えながら生きている平凡な人々が、いわば暗闇の中に一筋の光を見つけて一歩前へ進み始める姿を描く。身近な「生と死」の問題がテーマで、それゆえにどのエピソードも「どこかで見たこと聞いたことある」という印象だが、その「ありふれた話」の持つ普遍性こそが本作の狙いなのだろう。どことなく学生映画的な青臭さが演出にも脚本にも感じられることは否めないが、自主製作ならではの素朴な手作り感は魅力でもある。ベテラン俳優勢の豪華な顔ぶれ(手塚理美がお祖母ちゃん!)も見どころ。
この短評にはネタバレを含んでいます