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劇場版 センキョナンデス (2023):映画短評

劇場版 センキョナンデス (2023)

2023年2月18日公開 109分

劇場版 センキョナンデス
(C) 「劇場版 センキョナンデス」製作委員会

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.5

轟 夕起夫

酔狂さに自覚的な野次馬にして、「政/祭りごと」を好む暴れ馬

轟 夕起夫 評価: ★★★★★ ★★★★★

“野次馬コンビ”を自称する、ラッパーと時事芸人による衆参選挙戦の漫遊記。ドキュメンタリーだが感触としてはさながら、傑作映画『コミック雑誌なんかいらない!』(86/監:滝田洋二郎)のよう。すなわち突撃レポーター、内田裕也サン演ずるあのキナメリのごとく体を張り、内容的にも同じくヴィヴィッドに時代を切り取りつつ、コメディからホラーまで多ジャンルを横断してゆくのだ。

しかも二人の肝の据わり方は、明治大正時代、ジャーナリストとして活躍した反骨のパロディスト・宮武外骨や、その影響下で生まれた、前衛美術家・赤瀬川原平の漫画キャラ=馬オジサンと泰平小僧にも匹敵する。つまりパンクで、元気の出る映画ナンデス!

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

選挙の裏に軽やかに食い込みつつ、元首相銃撃事件で不測の方向へ

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

「なぜ君」「香川1区」から地続きの流れで、日本の選挙システムに食い込んでいくラッパーと時事芸人のコンビは、時に相手の心を開き、時に相手を油断させ…と、その巧みな会話術に惚れぼれするが、いかに裏で計算しているかも伝わり、プロの仕事を実感。基本は面白おかしくのムードを守りながら、重要なポイントではズバッと切り込む、そのメリハリでドキュメンタリーとして飽きさせる余裕なし。

制作中に安倍元首相の銃撃事件がとびこんできて、その衝撃をリアルタイムで作品に入れ込んでいくので、作り手側の混乱もビビッドに記録。ただそこのインパクトが強い分、一本の映画として何を伝えたかったか、ややメッセージ性がボヤけた印象も。

この短評にはネタバレを含んでいます
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