国葬の日 (2023):映画短評
国葬の日 (2023)今の日本人が意外なほど刻印され、何十年後かに意味をもつ作品
安倍元総理の国葬と直接、関係する場所での出来事はわりと想定内なのだが、そうでない地点、たとえば札幌で結婚写真を撮るカップルや、静岡・清水で台風の浸水被害の後始末に終われる人々、福島・南相馬市で曽孫を背負う女性の、国葬との間接的なシチュエーションから、今の日本が浮かんでくる。
観ている間は、やっつけ的に撮られた雑然感でモヤモヤするも、観終わってから、映像の総合体に気押された。その意味で、「映画」としては不完全だが「記録」としてパーフェクト、意味がある作品。
すぐに観られない人は、できればずっとタイトルを記憶の隅に存在を留めておいて、何年後かに観たら、むしろ受け止められるものが大きいかもしれない。
この短評にはネタバレを含んでいます