春の画 SHUNGA (2023):映画短評
春の画 SHUNGA (2023)森山未來、吉田羊のナレーションも良い。
塩田明彦の『春画先生』に続き、こちらはドキュメンタリ。鳥居清長「袖の巻」復活プロジェクトを中心として江戸期以来の春画の歴史が綴られるが、その絵師ごとの特色が濃厚に出ているのがよく判る。絵師、彫り師、刷り師、その三方が綾なす微細な版画の浮世絵の美しさとエロティシズム。髪の生え際の一本一本、陰毛の一本一本まで精緻に彫り込まれる様には感心しきり。大英博物館のキュレーターが言うように「女性が性的快感を持って良いという思想がある」という真意が理解できる。初期の歌麿等の美人絵系から北斎「喜能会之故真通」の蛸あたりから変わり、幕末のグロテスク画に至るまで網羅しているのも美術ドキュメンタリーとして優秀。
この短評にはネタバレを含んでいます