デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章 (2024):映画短評
デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章 (2024)ライター2人の平均評価: 4
キャスティングだけでなく、吉田玲子による脚色が秀逸すぎ!
『第9地区』好きにはたまらない、不穏なのに穏やかな日常系からの超展開。侵略者が襲来する「8.31」など、いかにも浅野いにお原作な拗らせっぷりに、「ドラえもん」などのオマージュ&新解釈、刺さるセリフの数々。それに加え、いきなり原作の闇落ち過去パートをブチ込んでくる吉田玲子による脚色が秀逸すぎ。コロナ禍を経た今の時代に絶妙にマッチした一本といえるが、単なる話題作りにも思えたキャスティングも見事しかない。とにかく全12巻のうち、まだ4巻程度までしか描かれていない『前章』。いろいろと風呂敷を広げ、課題を残しているだけに、『後章』を観ないと始まらない!
<異星人との遭遇x青春ドラマ>がリアルで新鮮
正体も目的も不明な巨大宇宙船が、3年間に渡って静止したまま空を覆い続ける町。その下で営まれる、宇宙船の出現以前と変わらないように見える日常。その光景が、これが今、私たちが生きている世界だ、と直感に訴えてくる。
その状況下で繰り広げられる、女子高校生の主人公と、同級生の友人たちの仲良しグループ5人の行動や関係性、とくに会話が、ものすごく鮮烈かつリアル。その年齢ならではの熱血と屈折、初恋などなどが混合された青春物語に、子供時代の愛読コミックへのオマージュ、異星人との遭遇ものが絡み、絶妙な配合具合で独自の世界を構築。少女たちが空を行く時の軽さと速度が気持ちいい。