ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ (2023):映画短評
ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ (2023)ライター4人の平均評価: 3.5
ホラー展開より、まさかの心理ドラマが濃厚
かなり設定が似ているニコラス・ケイジの『ウィリーズ・ワンダーランド』との差別化を図ったか、物語の軸となるのは、失踪した弟を追い続ける主人公が抱える『ブラック・フォン』的なトラウマや家族の話。そのため、『チャイルド・プレイ』『M3GAN/ミーガン』的なブキミ可愛いキャラが大暴れする王道ホラーを期待すると、かなり拍子抜けするのは否めない。要はアニマトロニクスによる巨大マスコットの造形や店内の美術を生かしきれておらず、それはいじわる叔母さん役のメアリー・スチュアート・マスターソンの使い方も同じ。『ホーム・アローン』な要素もあるだけに、やはりクリス・コロンバス監督の降板は悔やまれるところだ。
怖さよりも、ジュブナイル感が妙味
ゲームを原作にしているということもあるが、ブラムハウスには珍しい陽性のホラーであることが、まず新鮮。大人になり切れない主人公と、その幼い妹を主人公にしたことで、ジュブナイル色も高まる。
閉鎖された、かつての人気ピザショップが“お化け屋敷”として機能。機械仕掛けの巨大マスコットたちが人間を襲う設定はスリリングだが、怖いというほどではなく、むしろアトラクション感を漂わせる。
何より、ジム・ヘンソン工房のアニマトロニクスによって命を得た巨大マスコットの造形が妙味。80年代のクリーチャーホラーにも似た手作り感が嬉しい。ホラーが苦手な方にもオススメ。
鉄板アイテム揃えました
真夜中の廃墟、機械仕掛けのマスコット、少年時代のトラウマ、夢に出てくる子供たち、そして殺人犯。もうこれだけ揃えられればホラー映画としては鉄板と言えるでしょう。しかも”高品質ホラー映画工房”ブラムハウスの作品ということでとても安心・安全な一本となっています。実はゲーム原作の映画化だったりするのですが、変ないびつさは感じさせずにシンプルに楽しめました。キャストについてはまさにこれからという人たちが揃って先物買い映画となっています。ジム・ヘンソン・クリーチャーショップが作った等身大マスコットの存在感が抜群でした。
"子供"がキーワードの心理ドラマでもある
かつて遊園地などで見かけた、動物を擬人化した巨大な人形の、かわいいはずなのになぜか不気味さが漂ってくる、あの感じ。人形の顔を見ても、善良なのか邪悪なのか判断できない、あの感じ。そうした誰もが子供時代に抱いたことがあるに違いない感情を、"子供"をキーワードに一つの物語に仕上げた脚本が見どころ。
今は廃墟となったピザの店。そこに今も設置されている、クマやウサギを擬人化した巨大なマスコット人形たち。その設定だけで恐ろしいのに、その店の夜間警備員となった青年は子供時代のある事件に固執していて、怪現象の中で、自分の隠れた本心を知ることになる。そんな心理ドラマにもなっている。