ありふれた教室 (2022):映画短評
ありふれた教室 (2022)学園版『由宇子の天秤』と言っても過言ではない
怒涛の悪夢的99分を体感させる「負の連鎖」型のジェットコースター・ムービー。主人公はギムナジウムの新任教師。自らの信念、あるいは正義感や倫理観に強くこだわる女性が、ほんの些細な判断ミスから事態をどんどん悪化させていく。イランのファルハディと良く比較される作風だが、説話構造は春本雄二郎監督の『由宇子の天秤』にさらに近い(共にベルリン国際映画祭パノラマ部門出品作との共通点も!)。
無駄のない語りを見せるチャタク監督の演出・設計力は圧巻。日本の教育現場にも共通する「無理ゲー」感をリアルに描き切った。同時により広い社会の縮図にも仕立てており、生徒による学校新聞の形でジャーナリズムにも触れている。
この短評にはネタバレを含んでいます