大きな家 (2024):映画短評
大きな家 (2024)”家”の概念をとらえ直す
児童養護施設にカメラを向けると、どうしても子どもの家庭の事情に興味が向いてしまう。しかし本作は、子どもたちの心の成長にフォーカス。それは長期取材で彼らと交流を育み、信頼を得た制作体制だからこそ成し得た賜物だ。同時にカメラは、彼らを見守るスタッフと施設の存在の大きさを映し出す。登山、生い立ちの整理、独り立ちの準備、海外の孤児院へのボランティアetc.....。施設が設けた、子どもたちが己の心と向き合う時間と環境の豊かさは、”獅子の子落とし”のごとし。いつの時代も家族の存在は時に厄介だが、地域や社会といった”大きな家”で子を見守ることの大切さを伝える作品である。
この短評にはネタバレを含んでいます