邪悪なるもの (2023):映画短評
邪悪なるもの (2023)南米アルゼンチン産の土着ホラーは味が濃い
人里離れた村を舞台に、その土地ならではの風習や信仰をモチーフにした土着ホラーは多々あるが、本作はその舞台が南米アルゼンチンの片田舎で、土の匂いがする雰囲気が妙味。羊たちを飼育し、言い伝えを信じる人々の暮らす土地で、"悪魔憑き"と思われる事態が起きて、それが伝染していくという、土着ホラーと感染ホラーの合わせ技。そこに主人公の、離婚した妻から子供たちを取り戻したいという、秘めていた強い欲望が絡んで、現代的な心理サスペンスにもなっている。
監督はアルゼンチン出身、『テリファイド』のデミアン・ルグナ。今回も子供の用い方が容赦なく、主人公の幼い息子や、子供たちが登場するシーンが強烈な印象を残す。
この短評にはネタバレを含んでいます