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クラブゼロ (2023):映画短評

クラブゼロ (2023)

2024年12月6日公開 110分

クラブゼロ
(C) COOP99, CLUB ZERO LTD., ESSENTIAL FILMS, PARISIENNE DE PRODUCTION, PALOMA PRODUCTIONS, BRITISH BROADCASTING CORPORATION, ARTE FRANCE CINEMA 2023

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3

平沢 薫

ポップでカラフルな世界に、異物が根付く

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 レモンイエロー、オレンジ、ペパーミントグリーンのポップで鮮やかな色彩と、'70年代ふうのレトロなデザインで統一されたクリーンで完璧な世界に、異物が静かに根付き、世界を侵食していく。ミア・ワシコウスカ演じる奇妙な栄養学の教師が学校にやってきて、生徒たちは彼女の提唱する怪しい食事法に傾倒していく。思春期の選民意識、世代間の価値観の違い、拒食症、洗脳が、不穏な物語を紡いでいく。現代版ハーメルンの笛吹きが奏でる歌は、かなり危ない。

 監督・共同脚本のオーストリア監督ジェシカ・ハウスナーは、奇妙な植物の繁殖を描く『リトル・ジョー』(2019)も色彩が印象的だったが、本作では色彩がさらに鮮烈。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

若者はこうして洗脳されるのか…をスタイリッシュに

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

妙におしゃれな制服の高校生たち。新任教師が彼らに教えるのは「少食のススメ」で、滑り出しは爽やかな青春映画として語られる健康志向作…という印象。観ていくうちに、だんだん異常な段階へ突入していくのだが、描き方が整然とスタイリッシュなうえに、食事療法が効果を発揮したりと、つねに奇妙な感覚に襲われる。観ているこちらも静かに洗脳される一作。
ミア・ワシコウスカの“無色透明感”が教師役にぴったり。自分の指導にまったく疑問をもたず、生徒との関係もドロリと化すこの役は、彼女以外ならキワモノっぽくなったかと。
分断された考え、SNSで飛び交う陰謀論と正論など社会の「今」を重ねられるが、そこまで説教くさくはない。

この短評にはネタバレを含んでいます
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