国境ナイトクルージング (2023):映画短評
国境ナイトクルージング (2023)宙ぶらりんの日々、名付けたくない気持ち
まだ寒い季節、中国と北朝鮮の国境の町、延吉で出会った、まだ若い男2人と女1人が、なんとなく一緒に過ごす"休日"。それぞれが仕事を休業し、どこにも所属していない宙ぶらりんの日々だが、それが永久に続くわけではないことは分かっている。
名付けると別のものになってしまう、ぼんやりした気持ち。なので、名付けず大切にする。そういう時間が描かれて魅了する。ロードムービーでもあるが、移動は目的地に着くためではなく、ここに留まらないためだ。
監督・脚本はシンガポール出身の中国系監督、『イロイロ ぬくもりの記憶』『熱帯雨』のアンソニー・チェン。全編に、見知らぬ土地での地に足がつかない気分が漂う。
この短評にはネタバレを含んでいます