敵 (2024):映画短評
敵 (2024)静謐な一人暮らしの生活に波が立ち、やがて異様なスリルも
時代は明示されていないが、パソコンなどの仕様からしてほぼ現代。しかし主人公の暮らす家や日々の食事風景、行きつけのバーなどがあえてレトロに表現され、しかもモノクロ映像と相まって、ひと昔前のノスタルジーに浸る。心地よい映画体験。
一方で描かれるテーマは後半かなりシビアで、観た人それぞれが人生の行き着く先に思いを馳せ、いたたまれない気分にもなる。これもまた優れた映画体験。
勢いのある俳優も出演しつつ、あくまでも「役にぴったり」にこだわった感のあるキャスティングに感心しまくり。シュールな演出もあって非現実世界に連れて行かれそうになるたびに、彼らの実直な演技でリアルが戻ってくる。これこそ映画体験の喜び!
この短評にはネタバレを含んでいます