動物界 (2023):映画短評
動物界 (2023)ジャン=ジャック・ルソーから手塚・宮崎・岩明まで!?
コロナ禍の閉塞や混沌が色濃く反映されたであろう充実の近未来系で、アナログとデジタルを組み合わせた特殊効果も上々の出来。“ハリウッドの向こうを張る“仏製エンタメとしては久々の大玉ではないか。ゾンビ物の変奏とも言えるが、アニマライズのモチーフで風刺は繊細になり、手塚治虫の『バンパイヤ』や岩明均の『寄生獣』など日本の漫画も連想する。
ボディホラー的な身体変容が見せ場となるが、親子の物語としても感動的。トマ・カイエ監督は小津安二郎の『父ありき』からインスパイアされたらしい。息子エミールの名前は、自然回帰を説いたルソーの名著『エミール』からか。ドラマシリーズっぽい語り口でもあるので続編も期待したい。
この短評にはネタバレを含んでいます