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シンシン/SING SING (2024):映画短評

シンシン/SING SING (2024)

2025年4月11日公開 107分

シンシン/SING SING
(C) 2023 DIVINE FILM, LLC. All rights reserved.

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.3

なかざわひでゆき

実在する更生プログラムを元当事者たちが演じる感動作

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 『ティファニーで朝食を』にも出てきたニューヨークの最重警備刑事施設・シンシン刑務所。そこで実際に行われているという、演劇を通じて更生を促進する施設内プログラム<RTA>に参加した収監者たちの人間模様を描く。主演コールマン・ドミンゴ以外の主要キャストが同刑務所の元収監者、つまり当事者ばかりなのは興味深いところ。弱さや優しさを見せたら舐められる。貧しさゆえ満足に教育も受けられない。そんな殺伐とした世界で生きてきた男たちが芸術に触れ、役柄を演じるために自らをさらけ出すことで、むしろ自分らしさ・人間らしさを取り戻していく姿はシンプルに感動的。「俺たちは人間に戻るため集まっている」とはそういうことだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
大山くまお

役を演じることは「人間に戻る」ということ

大山くまお 評価: ★★★★★ ★★★★★

実際の刑務所で実際に行われている更生プログラム「舞台演劇」の模様を、名優コールマン・ドミンゴと実際にプログラムに参加した元囚人たちが演じる。劇映画の形を取っているが、肌触りはドキュメンタリーに近い。罪を犯した男たちが協力し合い、お互いを理解して舞台を作り上げていく。何よりも役を演じることが、「人間に戻る」ためのプログラムになっているのが心に響く。誰かにレッテルを貼られ、虚勢を張り、悪ぶっていた男たちが、役に向かい合うことで自分を見つめ直すというわけだ。派手な見せ場に頼らず、抑制的でありながら、感情がほとばしる脚本、演出、そして何より演技が見事。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

感動させ、考えさせる、リアリティに満ちた大傑作

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ヒューマニティにあふれる感動作。コールマン・ドミンゴ以外の多くの俳優、それに脚本家にも実際の収監者を起用したことで、まるでドキュメンタリーのようなリアリティが生まれた。クウェダーとベントリーは、刑務所でボランティア活動をするなどし、長年かけてリサーチをしたのだ。刑のシステムについても考えさせるが、それ以上に心を動かされるのは、芸術プログラムの持つ力の偉大さ。ドミンゴはさすが。無言のアップのシーンなどでやはりオスカー候補者だとうならせる一方、周囲からまるで浮いていない。スターである彼から現場のスタッフまで、全員同じレートで賃金の支払いを受けたという裏話に、さらに応援してしまう。

この短評にはネタバレを含んでいます
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