NO 選挙,NO LIFE (2023):映画短評
NO 選挙,NO LIFE (2023)“選挙ジャンキー”の、意想外のリアクションに胸熱くなる
一篇の「映画」としてすこぶる面白い! カメラが捉えるのは密着対象、或る“かぶき者”とその眺めている世界、だ。長年、選挙取材を生業としている男――好きが高じて“選挙ジャンキー”になってしまったフリーランスライター・畠山理仁氏のヤバい熱情が、本作をぐいぐいと引っ張ってゆく。
撮影も担当した前田亜紀監督の構成と編集(=宮島亜紀)が特に秀逸。密着人物ドキュメントというと『情熱大陸』を思い浮かべるが、あれは主人公がハッキリしている。こちらは、畠山氏の選挙取材の中で、(むろん演出など一切つけていないにもかかわらず)他者によって彼の「主役感」が揺らぐ瞬間があり、意想外のリアクションに胸熱くなるのであった。
この短評にはネタバレを含んでいます