極道恐怖大劇場 牛頭(ごず) (2003):映画短評
極道恐怖大劇場 牛頭(ごず) (2003)『蛇の道』と同時期に公開される奥深さ
黒沢清監督のセルフリメイクで再脚光を浴びる『蛇の道』(98)同様に、哀川翔主演なら何でもアリで企画が通ったと言われるビデオ映画がアツかった時代を象徴する作品だ。限られた予算の中、アーティシズムと遊び心を忘れずに創造の羽根を思いっきり広げた製作陣。彼らが作り上げたあり得ない世界を動じずに受け止め、有無を言わせず観客を納得させてしまう帝王・哀川の凄み。奇抜のようで、的確なカメラワークと演出で唸らざるを得ない画力の強さ。”世界の三池”の片鱗が間違いなく刻まれている。製作から21年。何かと正当性が求められる今、本作が放つ異彩さは一層輝きを増している。
この短評にはネタバレを含んでいます