九十歳。何がめでたい (2024):映画短評
九十歳。何がめでたい (2024)九十歳にして当たり役。めでたい。
同じ前田哲監督の前作『老後の資金がありません!』でコメディデンヌとして新境地を開拓した草笛光子。人生の大先輩に対して失礼ながら、まだ伸び代があるのかという尊敬と、まさかの齢90歳にしてハマり役に出会うという人生の奥深さを拝見している気分。どんな苦難が待ち受けていようと気品さを失わず、ブレずに生きていた小説家・佐藤愛子が綴った痛快な格言・名言の数々と、コスプレ年賀状を作成するようなお茶目さを併せ持つ人物を、これほど説得力を持って広く大衆に伝えられるのは、彼女しかいるまい。配給の松竹的にもシリーズ化の鉱脈見つけたり? ただその時は、寅さん並みの会話劇の妙とテンポの良さを期待。
この短評にはネタバレを含んでいます