ベルナデット 最強のファーストレディ (2023):映画短評
ベルナデット 最強のファーストレディ (2023)ライター2人の平均評価: 4
妻として女として軽んじられた大統領夫人の猛反撃が痛快!
妻は夫の付属物。そんな古い価値観を甘んじて受け入れ、夫をフランス大統領にするべく献身的に尽くしながら、しかし三歩下がって黒子役に徹してきたシラク大統領夫人ベルナデットが、そんな自分を過小評価して小バカにする側近やスタッフ、そして誰より自分がいなければネクタイも解けないくせに感謝するどころか威張り散らす亭主関白な夫に反旗を翻す。長年の忍耐の末にフェミニストとして目覚め、持ち前の知性とガッツで「弁えない女」ぶりを発揮していくベルナデットの快進撃が痛快!実話をベースにしながらも自由に創作を加え、ブラックユーモアを効かせたポップな風刺コメディへ昇華したレア・ドムナック監督の演出は非常にクレバーだ。
女性のエンパワメントを感じさせる
アダム・マッケイはディック・チェイニー元副大統領についての「バイス」を本人の許可なく作ったが、最大限事実にもとづくようにした。レア・ドムナック監督はシラクの家族と話さなかっただけでなく、フィクションを織り交ぜるというリスキーなアプローチを取っている。その結果出来上がったのは、どこまでが真実かはわからないものの、ユーモアがあり、女性のエンパワメントを感じさせる映画。夫からも世間からもリスペクトをもらえない(人前で話していると夫から『黙れ』というメモを渡される)ファーストレディ、ベルナデットが賢くイメージチェンジをし、次第にパワーを持っていくのだ。ラストシーンはとりわけ痛快。