群盗 (2014):映画短評
群盗 (2014)ライター3人の平均評価: 4
ラストの竹やぶの中での決闘……エ〜クセレント!
義賊。いい響きだ。悪業三昧の為政者、金持ちどもから物品を盗み、貧民に分け与える義侠心ある盗賊。いわば、白土三平の『忍者武芸帳』に出てきた“影一族”のようなヤツラが乱世にとことんカラダを張る。オープニングにはあの名曲、終盤にはあの伝家の宝刀も飛び出し、マカロニ・ウエスタン萌えさせるが、骨の随は武侠映画にあるとみた。
中盤で話体がゆるむのがちと惜しいけど、そこを乗り切った後はイケイケ! 屠殺人上がり、2丁拳銃よろしく肉切り包丁をダブルで扱うハ・ジョンウのワイルドさ、義賊一味をひとりで怯ませる悪の武官、扮するカン・ドンウォンの(庶子としての哀しみを湛えつつの)ソードアクションに燃えに燃えた。
韓流時代劇meetsマカロニ西部劇&香港アクション
一部の権力者がその他大勢の庶民を搾取していた朝鮮王朝末期を舞台に、血も涙もない残酷な若き武官の野心に愛する家族が犠牲となった無知な男が、やがて群盗=レジスタンスの一員となって壮絶な復讐に挑む。
ノリは完全にマカロニ・ウェスタン+香港アクション。それでいて、朝鮮王朝の栄華を多分に美化しつつも、最終的には滅ぼさねばならない絶対悪として権力を描いているところは韓流時代劇の王道といえるだろう。
ワイヤーワークや東西剣術を融合した華麗な剣劇アクションに血湧き肉躍り、『怒りの荒野』のテーマ曲をバックに繰り広げられる荒々しいバイオレンスにアドレナリンも大噴出。シリアスと荒唐無稽のさじ加減も絶妙だ。
韓流時代活劇に溶け込んだレオーネ&コルブッチ系!
キム・ジウン監督の『グッド・バッド・ウィアード』は『続・夕陽のガンマン』への愛情あふれるオマージュだったが、この『群盗』はマカロニ・ウエスタンのDNAを朝鮮王朝の時代劇の中に平易な形で溶け込ませている。キャラ紹介、『怒りの荒野』の音楽、そしてガトリング砲!
それでもタランティーノ的なオタク臭はなく、あくまで「俳優」と「物語」を味わう活劇になっているのが、『悪いやつら』でワルい男優たちの「いい顔」に集中したユン・ジョンビン監督の持ち味だ。特に名優ハ・ジョンウは、初のスキンヘッドでゴツい肉切り包丁を武器に闘う姿が凄まじい。少し前の『テロ、ライブ』のキャスター役とは全く別人のような野性味に痺れる!