ちはやふる -上の句- (2016):映画短評
ちはやふる -上の句- (2016)ライター2人の平均評価: 4.5
さあ、「下の句」を楽しむ準備はできたぞ!
広瀬すずは類い稀なる“アクション女優”だ。それも、ひとつひとつのモーションにエモーションを込められる……卓抜な! 彼女を中心に「かるた競技」に挑む弱小チームの心と体が いや、映画自体のグルーヴが、シンクロしていく。つまり彼女の一挙手一投足によって波動が伝わり、空気が動くのだ。その気持ち良さ。
作劇的にはやや漫画チックに傾きすぎるが、有効打が増えていくうちに気にならなくなる。ホント、いいシーンが多いのだ。特に山登りのエピソードで伏線としてあえて隠したカット、勝負が決まったあとのハイスピード撮影で捉えられた広瀬すずのオーバーリアクション2つの切り返し(意表をつく小泉監督のワザ)に感動した。
スゴいのは、広瀬すずだけじゃない!
原作・アニメファンとしてはやっぱり似てないキャスティングや、太一の背景があまり描かれない割に、LOVE要素強めな脚色に不満かもしれない。いやいや、オリジナル要素を交え、「よくぞ、ここまでまとめてくれた!」という感強し。さすがは『海街』姉妹、一皮剥けた感じが長澤まさみを彷彿させる広瀬すずはもちろん、意外なチームプレイやスポ根感、伝説の予感漂うキャストまで、『ロボコン』との共通点の多さもたまらない。そして、その感動と興奮は女王・松岡茉優登場が控える『-下の句-』予告で最高潮を迎える! 作品のテイストから、これまであまりに過小評価されてきた小泉徳宏監督だが、ついに代表作を放ったといえる。