ミックス。 (2017):映画短評
ミックス。 (2017)ライター2人の平均評価: 3
笑いも涙も薄めだが、幸福感をもたらすガッキーの引力には跪く
スポ根にはならないスポーツ・ラブコメ。元天才卓球少女・新垣結衣が再びラケットを持つ動機といい、元ボクサーの瑛太との出会いを始めとした彼女をめぐる人間関係といい、古沢良太脚本は堅実だが破綻もない。普通の人々の内面に深入りしない戯画的な筆致は、傷つけ合わぬよう配慮する今どきの人間関係そのもの。ピンポン球がVFXであろう事実を忘れさせるほど、試合の心理的駆け引きに力点が置かれるわけでもない。1時間20分で終わるストーリーに捻りを加えた1時間59分。収穫は、蒼井優扮する破壊的なまでの中国人キャラ。汗も笑いも涙も薄めの、低温エンタメ。それでも幸福感をもたらすガッキーの引力を前にして、最後には跪く。
かなり“卓球版『全力スマッシュ!』”
一度栄光を手にした女と落ちぶれたやさぐれ男がダブルス(ミックス)を組み、再起を懸ける展開からして、かなり“卓球版『全力スマッシュ!』”。さびれたクラブの様子も、キャラ立ちな選手たちも、香港映画タッチだが、ここまでナンセンス寄りながら、スポ根モノに必要不可欠な“必殺技”を登場させないところまで、『全力~』と同じ! ただ、ロマンティックコメディとして観れば、新垣結衣はキュートだし、元カレを見返したい女の執念も面白い。相変わらず永野芽郁のイヤな小悪魔っぷりはいいし、「チョレイ」へのツッコミなど、古沢良太の書くセリフもさすが。まったく笑えなかった『エイプリルフールズ』に比べれば、だいぶマシである。