河童のクゥと夏休み (2007):映画短評
河童のクゥと夏休み (2007)もうすぐ、14回目の夏がくる。
「クレヨンしんちゃん」の原恵一監督作だけに、非日常のなかの日常が丁寧に描かれ、野原家と同じ家族構成である“上原一家ファイヤー!”な展開もある。さらに、東京タワーや夕焼けのシーンでは、あの『オトナ帝国の逆襲』を思い起こすだろう。だが、愛嬌ある河童が主人公ながら、トラウマになるのも無理はない。冒頭のエピソードから人間の愚かさや醜さが剥き出しになり、イジメや環境問題、マスコミの過熱報道といった社会問題に鋭いメスを入れていく。そんな一概にモンスター、動物映画と呼べない作品だからこそ、『のび太の恐竜』『E.T.』を超える感動があり、夏が来るたびに会いたいほど魅力的なのだ。
この短評にはネタバレを含んでいます