その土曜日、7時58分 (2007):映画短評
その土曜日、7時58分 (2007)シドニー・ルメットのキャリアを締めくくる悲劇的スリラー
アメリカ映画史に大貢献をしたルメットは、最後の最後にも抜きん出た才能を発揮した。「こうなるはずじゃなかった」のに収拾がつかなくなっていく様子を、ルメットは、クラシックな雰囲気を保ちつつ、時間を微妙に前後させながら描いていく。その手法は、登場人物それぞれの事情をより深く見せるためのもので、決してカッコつけ目的ではなく、わかりにくくもならない。小さなことのひとつひとつがそれぞれの動機や後の展開につながっているのも見事。出演陣もすごい。ホフマン、ホーク、フィニーは一瞬たりとも目が離せないし、小さな役にマイケル・シャノンが使われているのもなんとも贅沢だ。
この短評にはネタバレを含んでいます