戦場のメリークリスマス (1983):映画短評
戦場のメリークリスマス (1983)38年経っても「変な感じ」が色褪せない、それこそが奇跡
1983年の初公開時、カンヌでの盛り上がり、ソソりまくるキャスティングで社会的話題になりつつ、観客の多くを混乱に陥れた。そして34年を経ても、やはり観ていて混迷する感覚は健在。つまり新鮮な輝きを失わないのが、この映画の奇跡。
たけし、ボウイ、坂本のメインキャストは明らかに、大島監督が自由にやらせたような、自然さ、そしてぎこちなさの妙なバランスで観る者の心をざわめかせ続け、あの有名な音楽はドラマと異様な被り方で聴覚を強烈に刺激する。奇怪なカットも多数。
すべてが魔物レベルの破壊力を伴いつつ、人間と人間の無垢な信頼の絆、さらに反戦というテーマだけは、静かに、優しく浸透していくところも、本作の凄み。
この短評にはネタバレを含んでいます