ドント・ルック・バック (1967):映画短評
ドント・ルック・バック (1967)改めて観ても端境期の異常なテンションが伝わってくる
余りに名高い「サブタレニアン・ホームシック・ブルース」の“クリップ”(パロディ多数)を冒頭に有する本作は、もはや古典。今回のデジタルリマスター版は『路上』を新訳で読むようなノリか。一方、これはディランがやたら悪態をつくインタビュー風景でも有名で、いま観るとノーベル賞をめぐる件からそのまま逆算されそうだが、しかし注釈は必要かと思う。
65年英国ツアー時はディランが“ポップスター”化し緊張と疲弊に塗れていた頃。恋人ジョーン・バエズとも距離が開き、本作撮影のすぐ後、ニューポートでの「転向」事件へと至る。この辺の経緯を的確に対象化した『ボブ・ディラン/我が道は変る』(6/3公開)と是非セットで。
この短評にはネタバレを含んでいます