ナイル殺人事件:映画短評
ナイル殺人事件観光地映画としてはスーパー級。リメイクの価値も大いにあり
2020年にリメイクも完成するこの作品、原作の評価はアガサ・クリスティの中で突出してはいないものの、「映画化」には最適な題材。スフィンクス、ナイル川、アブシンベル神殿、ルクソール神殿…と、観光映画としての魅力は映画史でも最高レベルかと。ピラミッドの登頂シーンなど、めまいがするほどの臨場感なのである!
殺人のトリックは、クリスティ作品でもかなり巧妙。「音」や「距離感」などで、犯人の目論見とそれぞれの証言を、鮮やかに一致させるポアロの真骨頂が発揮。そして真実の裏に隠された切実な想いは、クリスティ映画の大傑作『情婦』(原作は「検察側の証人」)にも似て、ミステリーの女王の「人間への愛」を実感できる。
この短評にはネタバレを含んでいます