サンザシの樹の下で (2010):映画短評
サンザシの樹の下で (2010)今や演技派に成長したチョウ・ドンユイの出発点
裏テーマとして、被ばくの恐怖もあるチャン・イーモウ監督作ではあるが、初期作に比べて、文革絡みのドラマ性は弱く、身分違いの純愛モノとしては『初恋の来た道』の二番煎じ感がある。とはいえ、どこか懐かしい情景の下、手渡しや包帯シーンなど、性悪な巨匠と思えぬほどの純粋無垢な2人のキラキラ描写がハンパない。そこに輪をかけるのが、新イーモウ・ガールに発掘されたチョウ・ドンユイのピュアな魅力。“13億人の妹”と呼ばれた三つ編み姿の本作から、早10年。『僕らの先にある道』(配信中)など、シリアスからコメディまで、難なくこなす演技派へと成長した彼女の出発点として観ると、なかなか感慨深い。
この短評にはネタバレを含んでいます