ラヴレース (2012):映画短評
ラヴレース (2012)ライター2人の平均評価: 3.5
シャロン・ストーンの揺るぎない女優魂に脱帽
かつてアメリカではハードコアポルノがメジャー映画並みの社会現象を巻き起こした時代があった。これは、そんな狂乱の’70年代を象徴するポルノ女優リンダ・ラヴレースの物語だ。
なるほど、作り手がドキュメンタリー出身ということもあってか、’70年代の風俗やファッションの再現は「アメリカン・ハッスル」などより遥かに忠実。リンダ本人にあまり似ていないアマンダ・セイフライドも、まるっきり当時の人にしか見えない。
ただ、暴力亭主に虐げられた初心な女性の成長を描く中身は極めて通俗的。アマンダの体当たり演技もワリと控えめで、かえって顔の皺もたるみも一切隠さないシャロン・ストーンに揺るぎない女優魂を感じる。
アマンダのヌードよりも衝撃的なこと
伝説のポルノ『ディープ・スロート』を右手の恋人としていた男性は、己を恥じるかもしれない。その裏側を追ったドキュメンタリー『インサイド・ディープ・スロート』の関係者を嬉々として取材した筆者も猛省だ。その主演女優がこんな壮絶な人生を歩んでいたとは。
一方で、中村登監督『夜の片鱗』(64)を地でいく見事な“墜ちる女“っぷりに、一時代を築いた女性の人生はかくもドラマチックなのかと不思議な運命を感じずにはいられない。
その主人公を演じたアマンダ・セイフライドの脱ぎっぷりの良さが話題だが、母親役のシャロン・ストーンのおばさん化はそれを上回る衝撃度。裸身同様、シワやシミを潔く晒したシャロン様に拍手。