レイルウェイ 運命の旅路 (2013):映画短評
レイルウェイ 運命の旅路 (2013)キャラクターの心情をもっと掘り下げてほしかった
「ジュネーブ条約の一部に未加入」なせいで第二次大戦中の日本軍捕虜の扱いは想像を絶するひどさだったに違いなく、本作の主人公ローマックスのようにPTDSに苦しむ元捕虜は相当数に上るだろう。これは退役軍人がかつての敵を許すことで新たな人生を踏み出すまでの実話なのだが、監督がキャラクターの心情を掘り下げなさすぎなのが弱点だ。主人公が傷心を隠し続けた理由は察するにしても、戦友が命を絶つ理由は読み取れず、献身する愛妻の苦悩も見えない。さらには敵である永瀬の描き方には疑問符がつき、ローマックスが許す理由が見当たらなくなる。コリン・ファースが静謐ななかに苦悩をにじませる名演を見せているだけにもったいない。
この短評にはネタバレを含んでいます