エクスペンダブルズ3 ワールドミッション (2014):映画短評
エクスペンダブルズ3 ワールドミッション (2014)ライター5人の平均評価: 3.8
スタローン教信者よ、映画館に結集せよ!
無茶な設定も力技でゴリ押しし、いい意味で商業主義に乗るスタローン。映画芸術とは無縁かもしれないが、派手なアクションと笑いでスカッとできる作風は100%保証! 忘れ去られた80〜90年代アクション俳優と新世代マッチョを組み合わせる本シリーズも第3弾だが、スタローンの気負いが抜けた分をメル・ギブソンの毒気が補っていて見応え十分。脱税俳優ウエズリー・スナイプスの復帰など、実生活で問題アリの俳優を使いこなす手腕はもはや神業。スタローン教なり! 仲間のために男たち(+紅一点)が命がけで戦う物語は「勇敢たれ」という教祖の教えというわけだ。新鮮味がない、と屁理屈こねるスノッブは見なくていいよ。
見せ場はステイサム×スナイプス
作品を追うごとに豪華キャストになる一方、どんどんユルくなる珍シリーズ。今回のテーマはまさかの世代交代だが、ジェイソン・ステイサムとウェズリー“ブレイド”スナイプスのナイフ名人対決が激アツ。この2人のスピンオフが観たくなるほど、いい味出している。スライに抜擢されたパトリック・ヒューズ監督は、現代版ウエスタンのデビュー作『レッド・ヒル』で、グースことスティーヴ・ビズレーを起用したほどの『マッドマックス』マニア。それだけに、悪役メル・ギブの撮り方には『マチェーテ・キルズ』以上の愛を感じるが、オーラゼロのハリソン・フォードを撮ったこともスゴすぎ。次回作で『ザ・レイド』をどう調理するかも気になる。
おっさんも若手もゲストもいっぱいで最高!
あー、面白かった。このシリーズは回を重ねるごとにノリが軽くなっていく。今回はついに映画全体が「消耗品」の潔さに達した。監督に若手P・ヒューズを抜擢したのも嬉しい。
特に極まったのはスター俳優が「本人」感丸出しで登場すること。もはやハリソン・フォードは実質何の演技もしていない。出色なのは「仕事をくれ!」「気持ちは84年生まれだ!」と爆笑アピールするアントニオ・バンデラスのミニコント!
さらに驚愕したのはケルシー・グラマー。アクションしてないのに出番が長い! 日本での低い知名度からすると謎の大きい扱いかも。「次は誰が出てくるか?」とのワクワクだけでも、できれば月刊くらいで続けて欲しいシリーズ!
アクションの基本に立ち返り、シリーズ劇的復活!
ギャグに逃げた前作で、シリーズは早くも自家中毒に陥った……と思ったが、どっこい熱気は死んでいなかった。原点に立ち返り、熱血アクションを展開させる快作に。
キャラクターを描きこむことで感情を沸き立たせる、そんな基本に立ち返った点に拍手。スタローンも新参入のメルギブやハリソンも熱血キャラとして機能し、派手なアクションを大いに盛り立てる。
アントニオ・バンデラスのようなコミック・リリーフもいるが、キャラの魅力が先立つのでギャグにわざとらしさがない。アスリートぞろいの若手キャストの熱演も光り、その凄みに見入ってしまう。アクション・ファンはともかく必見!
これぞ史上最強のオヤジ祭り!
このキャスティングだけでも、映画ファンならば胸ときめかないわけにはいくまい。スタローンを筆頭とするお馴染みのメンツに加え、メル・ギブソンにハリソン・フォード、アントニオ・バンデラス、ウェズリー・スナイプス。ついでにロバート・ダヴィまで顔を出すのだからニンマリですよ。
平均年齢の高さを考慮してか、活きのいい若手軍団も動員されているものの、オジサンたちだって負けちゃいない。中でもバンデラスとスナイプスの軽業スタントは出色。それぞれにしっかり見せ場を作り、単なる顔見せ映画には終わらせない。
確かにお話は単純明快だが、こういう映画はそれでいい。つべこべ言わず、史上最強のオヤジ祭りを楽しむべし!