アンチヴァイラル (2012):映画短評
アンチヴァイラル (2012)2020年に改めて見ると、最恐ホラー!?
セレブに宿ったウイルスがマニア間で高額で売買される近未来……という設定が、いろんな意味で恐ろしい逸品。鬼才デビッド・クローネンバーグの息子ブランドンが長編初演出に挑み、父譲りの変態性(?)を発揮した。
主人公の売人は自身の体にも憧れの美女のウイルスを宿らせており、彼女の怪死により幻覚に苛まれ、発熱を起こして狂気の淵へ。オタな内面の鋭い描写に加え、白を基調とした異様に清潔な映像に監督のセンスが光る。
主演を務めたC・ランドリー・ジョーンズの病的な個性も本作のピースとしてピッタリはまり、青白かったり紅潮したりの表情は鮮烈。その病的存在感を含めて、今いちばん怖いホラー映画かもしれない。
この短評にはネタバレを含んでいます