シン・シティ 復讐の女神 (2014):映画短評
シン・シティ 復讐の女神 (2014)ライター6人の平均評価: 3.5
妊娠中デヴォン青木の不在がチト残念。
「グラフィック・ノヴェルの映画化」という次元では限りなく原典に忠実でありつつ、俗流ハードボイルドのモノクロ世界を映像に移し替える実験アニメーション的試みが大成功した前作。その正統な続編だけあり同様の陶酔感はあるもののやや小じんまりした印象、とりわけJ.ゴードン=レヴィットのパートは消化不良だ。しかしメインともいうべきジョシュ・ブローリンのエピソードで彼を誘惑する魔性の女エヴァ・グリーンが、サイレント映画時代のヴァンプじみた妖艶さを撒き散らして圧巻。実のところ彼女しか印象に残らないくらいの毒の強さ。ま、彼女のファンとしては『300 帝国の進撃』といいこんな役ばっかり続くのが心配だが。
ハードボイルドな世界のヘタレたち
劇画を活かした映像から痛快なアクションを期待してしまうが、登場人物が揃ってしみったれていて、これはどうしたことか。
ナンシーは呑んだくれ、ドワイトは2度も同じ女にハメられる。復讐っていうより、身から出た錆に片をつけただけ。特に゛傲慢なギャンブラー゛が触れ込みのジョニーは、いきがった割には早々に痛い目に遭う。ジョセフ・ゴードン=レヴィット目当てなら、尚更脱力だ。
そこで一人気を吐くのがエヴァ・グリーンだ。もはやお約束の悪女&エロ担当。でもそれも『ダーク・シャドウ』に『300〈スリーハンドレッド〉〜帝国の進撃〜』と連発されると食傷気味。米映画はエヴァ姉さんに頼るのをいい加減やめなはれ。
待たせ過ぎ! が、ファンの期待にキッチリ応える
前作の前日談や後日談が入り交じるオムニバスの構図、モノクロのコミック的な映像、徹底したハードボイルド調。前作のファンとしては、そんな一作目の魅力が健在であるだけで満足だ。
キャラの濃さも健在で、とりわけ女優陣の活躍がイイ。“復讐の女神”ことジェシカ・アルバの前作以上にセクシーな魅力や、『300<スリーハンドレッド> 帝国の進撃』に続いてフランク・ミラー作品の悪女にふんしたエヴァ・グリーンの、シーンの半分が裸という魔性キャラにブッ飛んだ。
前作から9年という年月は待たせ過ぎという気がしないでもない。それでもファンには同窓会的な空気が感じられ、続編としの機能をきっちり果たしている。
あの闇と光だけの街、再び
これはもう純粋な、見る至福。ポスターを見てピンとくる人には期待通りの世界が体験できるし、関係ない人にはまったく関係ない。そういう映画。05年公開の前作と、世界観も映像手法もまったく同じなのは、前作がすでに完成形だったことを証明している。
フランク・ミラーが黒と白のみで描いた叙情派ハードボイルド・コミックを、この世界を愛するロバート・ロドリゲスと共に監督。俳優以外はすべてデジタル。色彩は白と黒で、ごく稀に赤や黄の極彩色が出現する。ひとつの世界を映像化するにあたって、そのための"手法"を独自に開発したところがこのシリーズの真髄。コミックでも実写でもない、このシリーズだけの映像に陶酔できる。
呆れるほど正統すぎる9年ぶりの続編
3Dなど技術面は向上しているはずだが、基本やってることは前作とまったく変わらないという意味で評価できる9年ぶりの続編。だからこそ、ヴィジュアルの衝撃は皆無に等しいが、前作好きなら十分満足できる仕上がり。母になっても劣化を感じさせないジェシカ・アルバを筆頭に、前作のキャストをできるだけ集めた意気込みは買いたいが、フランク・ミラー繋がりで、『300~帝国の進撃~』に続き、ここでもビッチな魅力をふりまくエヴァ・グリーンの存在感が圧倒的! それにしてもジョセフ・ゴードン=レヴィットがしっかりカッコいい、さすらいのギャンブラーのエピソード。あのオチ、なんとかならなかったものか。
このマンネリ感もまた醍醐味か?
フランク・ミラーのグラフィックノベルを映画化したシリーズ第2弾。モノクロを基調としたノワーリッシュなビジュアルと、セックス&バイオレンス全開な演出は健在だ。続編の宿命としてのマンネリ感は否めないが、この世界観がたまらんのよ!というファンならばひと安心。ただ、スタイルを重視し過ぎてテンポが悪くなったようにも思う。
前作から9年という歳月を感じさせない美貌のジェシカ・アルバは、一方で出し惜しみ加減も相変わらず。その代わり(?)として、悪女役エヴァ・グリーン嬢が脱ぎ担当を一手に担う。直接的な絡みこそないものの、デニス・ヘイスバートとジュード・チコレッラの共演も「24」ファンにはちょっと嬉しい。