奇跡の2000マイル (2013):映画短評
奇跡の2000マイル (2013)ライター2人の平均評価: 4
自分探しを超えた、地球を感じる旅!
時は’77年。ヒッピイズムに影響されながらも馴れ合い的風潮を拒絶した女性の自分探しの物語。でも決行の数年前から旅に必要なラクダを飼い馴らす修行を積む計画性があり、その過程が冒険旅行と同じ比重できっちり描かれるのが堅実でイイ。旅に出てからは、おそらく誰もがN.ローグ『美しき冒険旅行』(あれも通過儀礼の物語だ)を想起する大自然の異世界的なランドスケープに陶然となること必至だが、なぜこんな過酷すぎる撮影に自ら臨むのかと、それだけで胸がキュンとなるミア・ワシコウスカに惚れ直す一篇でもあるのだな。ささやかな通過儀礼に一役買うA.ドライヴァーがハインライン「ルナ・ゲートの彼方」を読んでるのにも注目!
月がオレンジ色で途方もなくデカい
夜。月が、途方もなく巨大で、オレンジ色をしている。真っ黒な夜空に輝く白い星の数が、見たこともないほど多い。昼。どこまでも続く黄色い砂地の上には、ひとつも影がない。空は青ではなく水色。世界が、夜と昼でまったく違う。これらの映像は加工ではなく、オーストラリアの砂漠で実際に撮影されたもの。こうした見たことのない風景の中を、主人公を一緒に歩いて行きながら、主人公の心情に寄り添って行く形式になっているのだが、風景が美しすぎて、その美のほうに目を奪われてしまう。アダム・ドライバーはちょっとだけ登場して、善人でもないのに強烈な印象を残す。「スター・ウォーズ フォースの覚醒」での役もそんな感じ?