ラブ&マーシー 終わらないメロディー (2015):映画短評
ラブ&マーシー 終わらないメロディー (2015)実話劇というより、題名どおりの“愛と慈悲”の寓話
ブライアン・ウィルソンという、ある意味“不思議の国の人”を、その角度から切り取った……という点では伝記ドラマというより、現代の寓話と言うべきか。
1960年代と80年代を股にかけてウィルソンの人物像を見つめる設定が、まず技アリ。フォレスト・ガンプ的なウィルソンの描き方に熱狂的なファンは拒否反応を示すかもしれないが、一本の映画としてはタイトルどおりの“愛と慈悲”の寓話で、腑に落ちる。
60年代を演じるポール・ダノと80年代のジョン・キューザックを同一人物と見るのは無理かあるかもなあと思っていたが、見て納得。闇の部分の精神的なシンクロに、役者の凄みを改めて痛感した。
この短評にはネタバレを含んでいます