怪盗グルーのミニオン危機一発 (2013):映画短評
怪盗グルーのミニオン危機一発 (2013)ライター2人の平均評価: 4
ミニオンの出血大サービス!
40代半ばを過ぎたオッサンが公の場で堂々と白状するのもなんだが、私はミニオンがたまらなく大好きである。あの屈託のないおバカさ、本能の赴くがままに生きるクソガキそのものの無邪気さがなんとも言えず愛らしい。恐らく、そんなミニオンフリーク(?)も筆者だけではないのだろう。約3年ぶりとなる今回の続編は、前作以上にミニオン前面プッシュの出血大サービスと相成った。
ストーリーは前作に比べると少々インパクト不足かもしれない。子供嫌いの偏屈な強盗だったかつての主人公グルーも、今やすっかり3人の孤児姉妹たちの良きパパに。とりあえず年頃になった長女マーゴの初恋にオロオロしたりヤキモキしたりという葛藤はあるものの、父性愛の目覚めという大きな変化が思いがけないほどの感動を呼んだ1作目に比べると、ドラマの奥行きは今ひとつ。また、ミニオンたちのピンチにさほどの危機感がないのは子供向けアニメゆえ仕方ないが、あっさりと形勢逆転してしまう辺りは物足りなくも感じる。
とはいえ、そんな弱点を補って余りあるのがミニオン軍団の縦横無尽で抱腹絶倒なヤンチャぶり。子供相手だからとタカをくくらないギャグセンスは秀逸だ。
前作よりずっといいと思う!
びっくりするくらい面白かった! 思えばシリーズ第一作『怪盗グルーの月泥棒 3D』(2010年)は“3D時代”の本格到来からまだ間もない時期だったせいか(しかも後発作品の意地からか)、変に立体視アトラクションとしての見せ方を意識しすぎている印象があった。ところがわずか3年も経たないうちに、もうハリウッド・メジャーの3D・2D同時公開は当たり前。今回はちゃんとキャラクターの良さとストーリーの質に集中する方へと舵を切っている。やはりCGアニメーションは映像技術の進歩がモロに反映されるので、ピクサーの『トイ・ストーリー』シリーズ以降、「続編の方が上がってる」のは常態になったのかも。
ストーリーの軸は、孤児たちを引き取って優しいお父さんになっている怪盗グルーと、新キャラの女性ルーシーの不器用な恋物語。筆者は日本語吹替版を鑑賞したのだが、前作ではご本人の個性が強すぎると感じたグルー役の鶴瓶師匠の声優ぶりも、今回は非常にこなれており、哀愁も備えたその「男前」な佇まいにジ~ン。
フジテレビの執拗なミニオン推しにちょっと引き気味の人も、作品自体にはピュアな感動が詰まっているので是非ご覧ください!