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Wの悲劇 (1984):映画短評

Wの悲劇 (1984)

1984年12月15日公開 109分

Wの悲劇
(C) KADOKAWA1984
斉藤 博昭

やや大げさだけど「伝説」と語り継ぎたい、女優覚醒の瞬間

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

名監督に指導されつつ、この作品までの薬師丸ひろ子はアイドル的魅力が優位だった。しかし今作の女優の卵、静香に役者としての成長がくっきり重なるのは、誰の目にも明らか! 前半の一本調子が、一大決心、記者会見、舞台上カーテンコールの表情と、サナギが蝶になるように変貌。その過程をカメラがいつくしみながら捉える。名作『イヴの総て』の伝統を受け継ぐ鮮やかな「女優映画」。

「同じ単語3連呼」が「あまちゃん」でパロディになるなど、三田佳子のセリフ回しは大仰さを超えて「作られた演技」の教科書として伝説化。本人まんまの演出家役の蜷川幸雄も、舞台美術や照明に当時の彼の勢いと独創性が込められ感無量…と、見どころ充満。

この短評にはネタバレを含んでいます
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