偉大なる、しゅららぼん (2013):映画短評
偉大なる、しゅららぼん (2013)日本人ならではの摩訶不思議な不条理コメディ
不条理な設定とユルい笑いの渦中へ観客をポン♪と放り込む、いわゆる“万城目ワールド”全開な一本。特殊な能力を持った2つの名門一家の確執を軸に、争いや憎しみの不毛さを浮き彫りにしつつ、真のヒロイズムとは何なのか?と問いかける物語の核心部分は、「キック・アス」シリーズとも相通ずるだろう。
ただ、あえて現実と非現実の境界線を曖昧にすることで摩訶不思議な世界を作り上げた本作の語り口は極めて日本的であり、それこそが万城目作品の醍醐味だと改めて認識。この日常ならざる日常を呑み込めるか否かが好き嫌いの分岐点かもしれないが、水落監督のいい具合に肩の力を抜いたユーモアセンスが堅苦しい理屈を忘れさせてくれる。
この短評にはネタバレを含んでいます