バルフィ! 人生に唄えば (2012):映画短評
バルフィ! 人生に唄えば (2012)もはやインド映画的な型へのおもねりはまったくなし。
大スターが出ていても歌って踊らない“普通の映画”が増え始めたインド映画だが本作もそのタイプ。“まるでフランス映画のよう”という常套句がぴったりの洗練されたキャメラ。ボサノヴァ等のリズムを用いた可愛い楽曲。聾唖の青年と自閉症少女(「世界で最も美しい顔」にも選出されたプリヤンカーが最後まで本来の美貌を見せずに勝負!)の恋物語ではあるが、微塵も“上から目線”がないのも素晴らしい。しかも青年は絶世の美人妻とも愛し合うのだ! そしてもっとも顕著なのはサイレント映画への偏愛。チャップリンやキートンのパントマイム的表現を用いたいがため、主人公をこの設定にしたと思えるほどの身振り仕草の豊かさがある。
この短評にはネタバレを含んでいます