ぼくたちの家族 (2013):映画短評
ぼくたちの家族 (2013)ライター2人の平均評価: 2.5
はいはい、いいお子さんたちをお持ちで。
ひとことで言うと居心地が悪い。いや、これは観る者それぞれの家庭環境によって違うだろうし、「血族」というものにどれだけ重きを置いているかによるだろうが、少なくとも僕は生理的な胡散臭さを感じてしまう。前半部での池松壮亮のあんまりな感じの悪さ、だがそんな次男のほうに心を寄せていた母(原田美枝子)の本心を知る実直な兄(妻夫木聡)の衝撃。やがて見えてくる父親(長塚京三)の不甲斐なさ…。そうした駒が揃った時点で、この家族映画がどこに向かおうとしているのか予想がつき、『あぜ道のダンディ』同様、その方向へきっちり進んでいく。石井裕也こそ松竹映画の王道を継げばいいのだ、きっと彼は山田洋次になりたいんだろうから。
『舟を編む』で大きく1歩進んで、また2歩下がる
親の介護と言えば娘や嫁といった女性目線で語られることは多いが、本作は異色の男たち。母親の余命宣告に、あたふたしていた夫と息子が成長していく様を描く。ただ、下ネタこそないものの、ウケを狙った笑いを挿入しながら話を転がしていく手法は、石井裕也監督の常套手段。また介護がテーマながら金銭面の懸念が中心で、実際に世話するようなシーンが欠如しているところにも物足りなさを感じる。この辺りは観る者に、介護経験が有るか否かで評価が分かれそうだ。
それでも演出力はさすが。特に好青年な人柄がつい滲み出てしまう妻夫木聡から、今までにないブラックな一面を引き出している。