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映画「立候補」 (2013):映画短評

映画「立候補」 (2013)

2013年6月29日公開 100分

映画「立候補」
(C) 2013 word&sentence

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.5

森 直人

実は泣ける。炎上、ビリ、キワモノ上等!

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

「スマイルしてまっか」と語りかける変なおっさんに、「はよ帰れ! アホ!」と罵声を浴びせる橋下徹陣営の街頭演説に集まった聴衆たち。2011年の大阪府知事選を記録した本作の実質的な主役は、最下位で落選したスマイル党総裁のマック赤坂だ。彼の選挙活動は駅の構内で珍曲を歌いながら踊ったり、平気で一般市民にもブチギレたり、ひたすら奇行を繰り返すのみ。それを見て誰もがこう思うはず――「マジで当選する気あんのか?」と。だがこの映画は、ふてぶてしく闘い続けるマックと、やがて集団でバッシングするだけの一般市民を対比的な構図で見せる。筆者はこう解釈した。本作は「政治」が支配する社会に、「表現」の側にいる人間が飽くなき逆襲を仕掛けるドキュメンタリーだと。多数決の世の中では、どんどん“負けた者”が排除されていく。泡沫候補のようなピエロを許容する多様性と寛容が失われた時、日本は本当に息苦しい国になるのだろう。

この短評にはネタバレを含んでいます
中山 治美

多勢に流されがちな日本人に喝ッ!

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

ただただ、猛省しかない。選挙の時、いかに自分が全立候補者の声に耳を傾けずに一票を投じていたかを。優れたドキュメンタリーはひとつの事象を別角度から捕らえて観客に新たな発見を与えてくれるが、本作がまさにソレ。2011年の大阪府知事選に立候補したマック赤坂氏ら泡沫候補を追い、彼らがなぜ負け戦に挑んだのかに迫る。日頃の報道とは逆視点でカメラを向けると、真摯かつ人間的なマック氏らは実に魅力的で、有力候補の外面の良さが鼻につくから不思議だ。同時にあらわになるのは、昨今の日本社会の不穏な空気。ネット右翼やヘイトスピーチに象徴されるように、自分の意に反する人物は徹底的にこき下ろすが、マック氏にも同様の罵声やヤジを浴びせるのだ。それでもマック氏は毅然とした態度で一人立ち向かう。ブレない男は強いのだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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